会社用の印鑑には「社判」「社印」と様々な呼び方や種類があります。
事務経験の長い人が常識のように口にする言葉ですが、新社会人にとっては混乱の元ではないでしょうか?
これらの知識は、起業や社名変更の際の社判選びにおいても欠かせません。
結論から言えば、社判と社印は全くの別物です。
当ページでは、社判と社印の違い・使用場面・役割などを、わかりやすく紹介していますので、就職や転職など、これから会社の事務作業に関わる方は、ぜひ参考にして下さいね!
それでは早速、社判と社印の違いを解説し、社印の使い方・おすすめの選び方や購入方法を紹介していきます。
「社判」と「社印」の違いとは?
会社も個人と同じように、実印・認印・銀行印やスタンプなど、様々な種類を使い分けます。そして、これらを全てまとめて「社判(しゃばん)」と言います。
これに対し「社印」とは、社判のうち「四角い型で印面に会社名のみ記載されたもの」を指し、会社の認印です。その形状から、角印と呼ぶ場合もあります。
つまり、社印は社判のうちの1つ、ということになりますね。
ここまでを整理すると
「社判」:会社で使う印鑑の総称
「社印(角印)」:会社で使う印鑑のうち、請求書や領収書への押印に使う四角い形の印鑑
このように、名前は非常に似ていますが、意味は全く異なることがわかりますね。
社判には他にも種類がある!
社判には、社印(角印)以外にも様々な種類の印鑑があります。特に、法務局への登録に使用する会社実印(丸印)は、会社の意思決定を示す最も重要な印鑑です。
社印の使い方だけではなく、その他の社判の種類を知っておくと、実務でスムーズに事務作業が出来ますよ!
会社実印(丸印)
法人登記にあたって必須となる印鑑です。ラウンド型の印面に会社名+代表者名を彫り込み、一般的に「丸印」と呼ばれています。
銀行印(法人銀行印)
法人名義の銀行口座を開設する際に使用します。丸印と同様、ラウンド型の印面に会社名+「銀行印」と彫り込まれます。
偽造・盗難・紛失があった場合は大きな損害を被る場合もあるため、厳重に保管しましょう。
会社認印(社印・角印)
日常的に発行する書類(見積書・請求書など)に使用される社判。四角形の印面に会社名のみが彫刻されており、最も使用頻度が高い印鑑です。
「社印」や「角印」など、会社によって呼称が違いますので注意が必要。
上記の3つの印鑑は、会社経営において欠かせない大切な社判ですので、各印鑑の違いや使い所はしっかり抑えておきましょう。
ゴム印や割印など、持っていると便利な社判
上で紹介した以外にも、社判には事務作業の効率を上げてくれる便利な印鑑があります。書類の発行が多い部署などでは必須とも言える社判を紹介します。
住所印や日付印などのゴム印
住所や企業名、日付などの定型文を1度の押印で簡単に済ますことができる便利な社判。ゴム印を使うことで、事務作業の効率が一気に上がります。
割印・契印
契約書の偽造や不正を防ぐ目的で押印する社判。社印や丸印とは違い、独自の形状・押印方法の印鑑です。
契約書に使用する社判について詳しく知りたい方はこちら:
割印と契印とは?~契約時に使う2つの印鑑について説明~
割印と契印とは?~契約時に使う2つの印鑑について説明~
使用場面・使い分けについて説明します!
社印(角印)の会社名だけ彫り込まれているという特徴から、ダイレクトメールや確認印として押印しても良いという勘違いがあります。これは間違いなので、注意しましょう。ですが、社印の押印には「その書類がきちんと法的な効力を持つもの」だと証明する意味がありますので、使用する場合は注意が必要です。
そのため、社印は社外向けの発行頻度の多い重要書類に押すようにしましょう。
社印(角印)を押す書類の種類
上記の通り、社印は日常的に発行する重要な書類に捺印します。では、具体的にどんな書類に社印を使用するのか、下記で見ていきましょう。
・請求書
・見積書
・領収書
このような種類の書類には、会社実印ではなく社印を押印するようにしましょう。
では、会社実印(丸印)はどんな書類に捺印するの?
社判には、社印よりも法的効力が強い「会社実印(丸印)」があります。ですが、社印と丸印の使い分けが分からないという方も多いのではないでしょうか?
実際に、丸印だけで会社を経営することも可能という点が、社印と丸印の線引を分かりづらくしています。
社印(角印)は印鑑登録しないという性質上、提出先に会社の実在性を証明したい書類には向いていません。
そのため、「法的効力のある書類・官公庁に提出する許認可申請等の書類」には、社印ではなく会社実印を押すようにしましょう。
・取引先との契約書
・雇用契約書
・営業許可申請書
・税務申告書
いずれの社判も法的な効力のある、重要な印鑑です。
また、契約書などでのミスは自社のみならず、取引先にも迷惑をかけることになりますので、社判の押印は十分に確認した上で行いましょう。
社印(会社認印)の押印方法
社印(角印)は、主に会社名または代表者署名欄に押印します。押印の意味や不正防止に配慮して、次の2点に気をつけながら押印しましょう。
①会社名(署名)の右端に押す
②会社名(署名)の文字と印影の一部を重ねるように押す
社印の印影が文字と重なると、契約書を複製することが困難になります。偽造や複製といった悪用を防ぐためにも、社印は文字に重ねて捺印します。
もし、署名欄付近に押印スペースがない場合は、社名・代表者名の中央付近に押しましょう。
社印の一般的なサイズ・社判におすすめの素材とは
社判のうち「社印(角印)」と呼ばれるものも、様々なサイズ・素材・書体で作ることが出来ます。また、サイズについては一般的なものがある程度決まっていますが、素材・書体については企業によって選ぶ基準が様々です。
それでは、まずは社印の人気サイズから見ていきましょう。
一般的なサイズ
印鑑ショップで社印を購入する際は、一辺21mm~24mmの正方形型のいずれかから選びます。上記のサイズ内で、社名の長さとバランスを取りながら作成するのが一般的です。
また、大きすぎると押印した際にアンバランスになりますが、中には事業の験担ぎで大きいサイズを敢えて選ぶ会社経営者もいます。
印材選びはデザイン以外にも注目しましょう
社判の中でも、使用頻度が高い社印は、印材をしっかり選ぶことが重要です。「耐久性能」と「デザイン」、そして「値段」に注目して、社判として相応しい印鑑を作成しましょう。
費用重視なら「柘 」
日本の伝統工芸品への使用頻度が最も高い「柘(つげ)」は、社判に好んで使用される素材。鹿児島県が名産地で、木材ながら乾燥やひび割れに強く・ほどよい柔らかさがあるのが特徴です。
ただし経年劣化に弱く、フチ欠け・印面の摩耗する恐れがあります。
そのため、10年保証等の無料彫りなおしサービスがあるお店で選ぶと安心です。
社判に必要な条件を兼ね備えた「チタン」
宇宙開発にも使用されている軽量金属「チタン」は、経年劣化とはほぼ無縁で保管場所・メンテナンスも選びません。また、金属素材のため耐久性が抜群で、摩耗や欠けに強く、耐熱性にまで優れています。
重厚で風格のあるデザインのチタンは社判、中でも社印にうってつけの印材です。
どの書体で作成すればいいの?
社判に用いる印材は、偽造や複製をされづらい書体で作成することが大切です。また、社判の中でも社印は様々な書類に使用するため、偽造のリスクが高いと言えます。
そのため、これから社印を購入するという方は、下記のポイントを抑えておきましょう。
・企業名が漢字のみ、和名の会社なら「篆書体」「印相体」
・社名が英語、アルファベット表記なら「古印体」
篆書体・印相体とは
社判の中でも、会社実印によく用いられる書体。複雑で可読性が低いので、防犯性能が高く、社印にもおすすめです。
古印体
力強く、風格のある書体。可読性が高いため、アルファベット表記の社名にぴったりの字体です。
上記のポイントを意識して作成し、防犯性の高い社印作成をしていきましょう!
まとめ
実印・認印等の会社用印鑑の総称である「社判(しゃばん)」のうち、四角い型で請求書や領収書押印に使うものを「社印(角印)」と呼びます。社印の使い方で最も重要なのは、会社実印(丸印)との使い分けです。
社印(角印):請求書・領収書・見積書など、会社の実在性を証明する必要のない書類
会社実印(丸印):契約書・官公庁提出書類など、法務局登録済み企業である証明をしたい書類
社判と社印、意味は全く異なりますが、非常に似ているため注意が必要です。
当ページで紹介している、社判ごとの役割を抑え、社印と他の印鑑をしっかり区別して使用していきましょう。