「シャチハタだって印鑑の一種なのにどこに違いがあるのだろう…」
そんな疑問を持った方もいらっしゃることでしょう。
「シャチハタ以外で」と指摘してくれる人がいるうちはよいですが、シャチハタと印鑑の違いを知らないままでいると、
シャチハタ不可の場面で使用して、「常識知らずな人だ」と思われてしまうかもしれません。
違いを知らなかったために、そのような事態に陥るのは嫌ですよね。
そこで、このページでは、印鑑専門サイトを運営する私がシャチハタと他の印鑑の違いをわかりやすく解説。
それぞれの性質と、利用できる場面とできない場面を整理しながら、シャチハタと他の印鑑の違いを説明していきます。
違いがわかることで、シャチハタや他の印鑑の有効な活用法が明らかになるはずです。
それでは早速、それぞれの違いを見ていきましょう。
他の印鑑とシャチハタとの違い
「シャチハタ以外でお願いします」シャチハタは正式な書類に捺印する際、使用が認められない場合が多いですよね。
シャチハタも印鑑の一種なのになぜ、使用が認められないのでしょうか。
どこに違いがあるのでしょうか。
ここでは、まずシャチハタと他の印鑑にはどのような違いがあるのか説明していきます。
シャチハタとは
シャチハタとは、本体にインクが含まれていて、朱肉やスタンプ台がなくても印影を残すことができる印鑑のことです。
元々、このシャチハタは、シヤチハタ株式会社が製造・販売している商品「Xスタンパー」のことを指す言葉でした。
ですから、シャチハタ=インク浸透印という理解は正式には間違いなのです。
シヤチハタ株式会社は、Xスタンパーだけでなく様々なネームスタンプを販売してきた会社。
シヤチハタ株式会社が出す商品のほとんどが、インクが本体に含まれている「インク浸透型」の印鑑であったため、いつしか、「インク浸透印=シャチハタ」という共通認識が作られ、シャチハタという呼び方が日本中に広がったのです。
ですので、今は「シャチハタ=インク浸透印」という理解で問題ないでしょう。
このシャチハタと他の印鑑の違いは主に3つあります。
他の印鑑との違い①…ゴム製
他の印鑑との違い②…朱肉ではなくインクを使っている
他の印鑑との違い③…大量生産されている
他の印鑑との違い②…朱肉ではなくインクを使っている
他の印鑑との違い③…大量生産されている
シャチハタは印影となる部分、つまり、印面の文字がゴムに掘られています。
他の印鑑と違い、朱肉を使わない代わりにゴムを通してインクがにじみ出る仕組みとなっているので、シャチハタの印面はゴム製なのです。
そして、シャチハタは大量生産されている商品。そのため、同じ印面のものが世の中に大量に出回っているのです。
ここまで、他の印鑑との違いを見てきました。
しかし、他の印鑑との違いがわかっただけでは、「シャチハタ不可」となる理由はわからないと思います。
次の項目では、「印鑑は何のために存在しているのか」という点から、正式な書類に使用できる実印と、使用できないシャチハタの違いについて説明していきます。
シャチハタはなぜ使用不可とされるのか~実印との比較から解説~
シャチハタは重要な書類への捺印の際、使用が認められず、「実印」として登録することもできません。実印とはどのような印鑑なのか、シャチハタとどのような違いがあるのかここで見ていきましょう。
実印とは、住民登録してある地域の市区町村の役所に印鑑登録をした法的効力を持つ印鑑のことを指します。
実印を使用するのは「家を買う」「生命保険の契約を結ぶ」といった人生における重要な場面。
実印を押すことは「この契約は私が認めて行ったものだ」という証明であるため、実印には「数年後も同じ印影が残せるもの」を選ばなければいけません。
契約に使った実印の印影が変わってしまったら、「自分が契約したのだ」という証明ができなくなってしまいますよね。
そうなったら、自分も、契約した相手も困ることに…。
そのような事態を避けるため、実印は何年経っても、印影が変化しない素材で作られていることが必須条件となっているのです。
実印の役割から「印鑑の役割」を考えると、シャチハタが使用不可とされる理由も明らかになるはず。
印鑑とは契約・手続きの際、印鑑を押した本人であるという証明をするために用いる道具。
つまり、本人であるという証明=「印影を残すため」だけに存在している道具なのです。
これを踏まえて、最初の項目で説明したシャチハタの性質を思い返してみましょう。
シャチハタは、
シャチハタの他の印鑑との違い①…ゴム製
シャチハタの他の印鑑との違い②…朱肉ではなくインクを用いる
シャチハタの他の印鑑との違い③…大量生産されている
という3つの特徴を持っています。
シャチハタは、上記の他の印鑑との違いを見てもらうとわかるように、「本人であること」の証明がとても重要になる場面での利用には向いていないことがわかります。
最近ではシャチハタのインクの質も良くなり、印影も経年変化しにくくなってます。
しかし、印面がゴム製であるため、普通に使用していてもゴムが傷ついたり、劣化したり…。
このようにシャチハタは同じ印影を再現できない可能性が非常に高いのです。
また、大量生産されているという点でもシャチハタは敬遠されます。
他の印鑑と違い、大量生産されているということは、同じ印面の印鑑を持っている人が複数人存在しているということ。
「契約したのは私だ」という証明のために印鑑を使うのに、他にも同じものを使える人がいたら、セキュリティ上問題が起きてしまいますよね。
以上のように、シャチハタは便利さの反面、「同じ印影を再現できる可能性が低い」「安全性に欠ける」という2つの問題点があります。
そのため、シャチハタは
①実印として登録できない
②重要な書類に捺印する際は使用不可
となっているのです。
ここまで、シャチハタが「使用不可」とされる理由、実印と比べてどこに違いがあるのかを見てきました。
次の項目では、同じものだと勘違いされやすい、認印とシャチハタの違いについて見ていきましょう。
認印との違いは?
重要な書類には使用できないシャチハタ。しかし、このシャチハタは、宅配物を受け取る時や社内の事務作業などの日常の場面では「認印」として利用することができます。
認印とは、実印登録していないハンコ全般のこと。
シャチハタと認印は同じものと捉える方もいますが、これは正式には違います。
認印は、実印や銀行印といった「目的別に分類された印鑑の一種」。
それに対して、シャチハタは素材による分類、つまり、チタンや象牙といった印材の違いによって分類されたうちの一種。
そもそもの分類に違いがあるのです。
つまり、シャチハタは「認印というジャンルに分類される印鑑の一種」であり、実印や銀行印などのように何か特別な目的のために存在する印鑑ではありません。
ですから、「シャチハタ=認印」という理解は間違いなのです。
ここで注意して頂きたいことが一点。
それは、シャチハタは認印の一種ですが、全ての場面で認印として使用できるわけではないということ。
2つ目の項目でも説明したように、認印であったとしてもシャチハタは実印や銀行印とは違い、重要な手続きには使用することができません。
違いを理解せずに使用していると思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれません。
ここまで読むと、「シャチハタはビジネスなどの重要な場面では全く使い物にならないじゃないか」と思う人もいるでしょう。
それは正解でもありますし、間違いでもあります。
シャチハタは他の印鑑と違い、朱肉が不要。
何度も同じ印鑑を押さなければいけない場面など、日々の事務仕事に役立ちます。
違いを理解して、うまく活用していけば普段の事務作業も快適になるはずです。
シャチハタと他の印鑑の違いを忘れないようにして、それぞれを有効活用していきましょう。